FIPとは、再生可能エネルギーで発電した電力を市場で売電する際に、売電価格に加えて一定のプレミアム(補助金)が上乗せされる制度のことです。
FIP(Feed-in Premium:フィードインプレミアム)制度は、2022年4月に開始された再生可能エネルギー支援制度です。政府が2050年カーボンニュートラル実現を目指す中、2030年の電源構成において再エネ比率を36~38%まで拡大するという目標を掲げており、FIP制度はその重要な政策ツールとして位置づけられています。
従来のFIT制度(固定価格買取制度)では、電力会社が再エネ電気を一定価格で買い取ることが保証されていましたが、これは電力市場の需給バランスとは切り離された仕組みでした。一方、FIP制度では「基準価格-参照価格=プレミアム単価」という算定式により、市場価格に連動したプレミアムが発電事業者に支払われます。参照価格は「卸電力市場価格+非化石価値取引市場価格-バランシングコスト」で算出され、1カ月ごとに見直されます。
FIP制度の最大の特徴は、発電事業者が市場価格を意識した発電を行うインセンティブが働くことです。例えば、蓄電池を活用してスポット市場価格が安い時間帯に充電し、価格が高い時間帯に売電することで収益を最大化できます。また、2026年度からは優先給電ルールが見直され、FIP電源の出力制御が優先的に回避される予定です。現在、太陽光発電250kW以上、風力発電50kW以上などが対象となっており、企業のVPPA(バーチャルPPA)やアグリゲーション・ビジネスなど新たなビジネスモデルの創出も期待されています。
参考:
資源エネルギー庁「再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート」
資源エネルギー庁「FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー」