GHGプロトコル

GHGプロトコルとは

GHGプロトコルとは、企業や組織が温室効果ガス(GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準であり、サプライチェーン全体の排出量をScope1〜3に分類して測定する世界共通の枠組みです。

GHGプロトコルの背景と仕組み

GHGプロトコルは、1998年に世界資源研究所(WRI)と世界環境経済人協議会(WBCSD)を中心とした「GHGプロトコルイニシアチブ」により策定が開始され、2001年に導入、2011年10月に現在の形で公表されました。気候変動の深刻化とSDGsの推進を受けて、企業に求められる環境責任が増すなか、温室効果ガス排出量の透明性確保と国際的な比較可能性を実現する目的で開発されました。

この基準では、企業の温室効果ガス排出量を3つのScope(範囲)に分類します。Scope1は「事業者自らによる温室効果ガスの排出量」で工場や社用車からの直接排出、Scope2は「電気や熱の使用に伴う排出量」で購入エネルギーによる間接排出、Scope3は「原材料生産や輸送、製品使用などによる排出量」でサプライチェーン全体のその他間接排出を指します。特にScope3は購入した製品・サービスから投資まで15の詳細カテゴリに分かれ、各カテゴリで「活動量×排出量原単位」の基本式により算定し、その合計がサプライチェーン排出量となります。

現在、GHGプロトコルは企業のカーボンフットプリント算定の事実上の国際標準となっており、SBT(温室効果ガス排出量削減の国際認証)、RE100(事業活動100%再生可能エネルギー)、CDP(気候変動情報開示)、TCFD(気候関連財務情報開示)などの国際イニシアティブの基礎データとして活用されています。主要企業がサプライヤーに脱炭素を要求する動きが広まる中、GHGプロトコルに基づく排出量算定と報告は、企業の競争力維持と社会的信頼性向上に不可欠な要素となっています。

参考:
環境省「サプライチェーン排出量全般」
GHG Protocol公式サイト(英語)

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