IPCCとは、「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)」の略で、世界195の国と地域が参加して気候変動に関する科学的知見を評価・提供する国際的な組織です。
IPCCは1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって設立されました。組織自体が研究を行うのではなく、世界中の科学者が協力して既存の研究論文を評価し、信頼性の高い報告書を作成しています。これまでに5回の評価報告書を完了し、現在第6次評価報告書が2023年3月に完成して各国の気候変動政策の科学的基盤となっています。
IPCCは3つの作業部会で構成されており、第1作業部会が「自然科学的根拠」、第2作業部会が「影響・適応・脆弱性」、第3作業部会が「緩和策」を担当しています。最新の第6次評価報告書では、66か国から200人以上の専門家が参加し、14,000本の論文を評価して作成されました。
IPCCの報告書は、パリ協定の「2℃目標」や「1.5℃努力目標」の科学的根拠を提供するなど、国際的な気候変動対策に大きな影響を与えています。IPCCは政策的に中立で、特定の政策の提案は行わない「科学的中立性」を重視しており、78,000件のレビューコメントすべてに対応するなど厳密な査読プロセスを経て、包括性・厳密性・透明性を確保した信頼性の高い情報を世界に提供しています。
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