LCA(ライフサイクルアセスメント)

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、製品やサービスの原材料調達から製造、流通、使用、廃棄・リサイクルまでの全段階における環境負荷を定量的に評価する手法です。

LCAの背景と重要性

LCAの原点は1969年、コカコーラ社の委託でフランクリン研究所が実施した「飲料容器に関する環境影響評価」とされています。従来の環境評価が生産工程のみに着目していたのに対し、LCAは「ゆりかごから墓場まで」すべてのプロセスを包括的に評価する画期的な手法として注目されました。

現在、LCAの手法はISO14040シリーズとして国際標準化されており、日本では2001年施行の循環型社会形成推進基本法において、拡大生産者責任(EPR)の考え方が明記されたことで、企業の環境責任がライフサイクル全体に拡大しています。これにより、多くの企業がCSR報告書やサステナビリティ報告書にLCAを活用するようになりました。

LCAの評価プロセスはISO14040で定められた4段階で構成されます。第1段階「目的と調査範囲の設定」で評価対象を明確化し、第2段階「インベントリ分析(LCI)」で各プロセスの資源投入量や環境排出量を定量的に収集します。第3段階「影響評価(インパクトアセスメント)」では分類化・特性化・正規化・統合化の手順で地球温暖化や酸性化などの環境影響を評価し、第4段階「解釈」で重要項目の特定と改善策の検討を行います。

実際の活用例として、自動車メーカーの研究では電気自動車とガソリン車のライフサイクル比較を実施し、走行距離10万km未満ではガソリン車の方がCO2総排出量が少なく、10万km以上で電気自動車が優位になるという結果を得ています。また、スニーカー製造企業では全製品のカーボンフットプリント(平均7.6kg CO2相当)を公開し、消費者の環境意識向上に貢献するなど、様々な業界でLCAが実践されています。

参考:
環境展望台|ライフサイクルアセスメント(LCA) – 環境技術解説

LCA(ライフサイクルアセスメント)